誤嚥性肺炎における抗生剤治療について

そもそも誤嚥性肺炎に抗生剤治療は必要なのか?

  • 誤嚥性肺炎には狭義の「誤嚥性肺炎」と「誤嚥性肺臓炎」という分類があり、狭義の「誤嚥性肺炎」は多くの方がイメージするような細菌性肺炎を指し抗生剤治療が必要ですが、「誤嚥性肺臓炎」は食物や水分による化学的刺激によって引き起こされる炎症が原因の肺炎であり、抗生剤は不要とされています。
  • しかし、臨床的にこの二つの肺炎を区別することは困難であり、誤嚥性肺臓炎に対しても予防的に抗生剤が投与されることはよくあります。
  • 次に紹介する文献では、誤嚥性肺炎に対する予防的抗生剤投与の是非について検討しています。

文献紹介

Prophylactic Antimicrobial Therapy for Acute Aspiration Pneumonitis

Vlad Dragan,Clinical Infectious Diseases, Volume 67, Issue 4, 15 August 2018, Pages 513–518
  • この文献の中では、誤嚥性肺炎発症後に抗生剤治療を開始した予防的抗生剤治療群と発症後の最初の二日間に支持療法のみ(抗生剤治療無し)の群とを比較しました。
  • 誤嚥性肺炎の治療を受けた200 例のうち、76人(38%)が予防的抗生剤治療を受け、124人(62%)が支持療法のみを受けていました。
  • 予防的抗生剤治療には、セフトリアキソン(n=35、46%)、ピペラシリン/タゾバクタム(n=20、26%)、モキシフロキサシンまたはレボフロキサシン(n=7、9%)、メロペネム(n=4、5%)、アモキシシリン/クラブラネート(n=2、3%)、または併用療法(n=8、11%)が含まれていました。
  • 予防的抗生剤投与期間の中央値は3.2日(1.9~6.0日)でした。

結果

  • 予防的抗生剤治療群と支持療法群において、30日以内の院内死亡率に有意差は認められませんでした(22% vs 21%)
  • 予防的抗生剤治療群では支持療法群に比べて、抗生剤無投与期間が短かった(7.5日 vs 10.9日)
  • 予防的抗生剤治療群では抗生剤治療のエスカレーション(抗菌スペクトラムの拡大)が頻繁に起こっていました(8% vs 1%)

まとめ

  • 誤嚥性肺炎と誤嚥性肺臓炎を区別することは、臨床の現場では必ずしも明確ではなく、困難である。
  • しかし、急性誤嚥性肺炎患者に対する予防的抗菌薬治療は臨床的に有益ではなく、誤嚥性肺炎を発症した患者に抗生物質の選択的圧迫を与え、その結果、抗生物質治療をエスカレートさせなければならない可能性がある。支持療法は急性誤嚥性肺炎患者の管理の主役であり続けるべきであるとしています。

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