口腔ケアの誤嚥性肺炎予防の費用対効果について

口腔ケアの誤嚥性肺炎予防の費用対効果について

口腔ケアの誤嚥性肺炎予防の費用対効果はどのくらいなのでしょうか?

口腔ケアの誤嚥性肺炎予防に関するオーストラリアの研究がありますのでご紹介します。

文献紹介

Cost‐effectiveness of professional oral health care in Australian residential aged care facilities

Melisa A Münzenmayer,Gerodontology.2019 Jun;36(2):107-117.

『オーストラリアの住居型老人介護施設における専門的な口腔ケアの費用対効果』

背景

オーストラリアでも高齢化が進んでおり、65歳以上の高齢者の割合2016年の15%(370万人)から、2061年には22%(900万人)まで増加すると予想されています。さらに高齢者の多くは地方に居住しており、都市部に比べ急速に増加しています。住居型老人介護施設は1995年から年々増加傾向にあり、平均で年2553施設(1.4%)ずつ増加しているとのことです。

肺炎は施設における感染の多くを占め、施設での介護関連肺炎の頻度0.27-2.50人/1000人当たりであり、その9-51%が入院しています。また、肺炎は施設での主な死因の一つであり、全体の死因の26-44%を占めています。

口腔ケアは施設における呼吸器系疾患の発生を防ぐというエビデンスがあり、(Systematic Review of the Association Between Respiratory Diseases and Oral Health:J Periodontol,2006 Sep;77(9):1465-82.)、この研究の目的は口腔ケアの費用対効果を分析することである。

対象と方法

オーストラリアのビクトリア州の住居型老人介護施設に住む47,624名を対象としました。

口腔ケアの介入方法として専門的口腔ケア(歯科医師および歯科衛生士による口腔ケア)、口腔ケアトレーニングを受けた介護士による口腔ケア通常の口腔ケアを用いた以下の4つのシナリオの介入方法を用意しました。

結果

4つのシナリオと対照群における1年間の口腔ケアの費用は下図です。

引用:Melisa A Münzenmayer,Gerodontology.2019 Jun;36(2):107-117.

人件費(salary cosys)が全体の90%を占めており、歯科用機器の費用が7%を占めています。シナリオ2が最も高額(3611豪ドル/人)で、対照群が最も安価(3061豪ドル/人)でした。

費用対効果分析

各シナリオと対照群(通常ケアのみ)における費用(口腔ケアにかかった費用+肺炎治療費)と肺炎患者の減少数は下図です。

引用:Melisa A Münzenmayer,Gerodontology.2019 Jun;36(2):107-117.

シナリオ2が最も肺炎患者を抑止し(6799人/年)、シナリオ4が最も安価でした(対照群比で-896豪ドル/人)

考察

本研究における4つの口腔ケアシナリオすべてが通常の口腔ケアと比べて費用対効果が高いことが示されました。

専門的口腔ケアを含むシナリオは専門的口腔ケアを含まないシナリオに比べ圧倒的に優れていました

専門的口腔ケアを含むシナリオのコスト削減額は752~896豪ドル/年であり、肺炎患者抑制数は5858~6779人/年であった。

結論

口腔疾患の大部分は予防可能であるため、歯科医療サービスの焦点は、高齢者に適切な口腔ケアを提供することによる疾患予防であるべきである。

本研究でモデル化された4つのシナリオは、通常の口腔ケアと比較して費用対効果は非常に高いものだった。週1回の専門的口腔ケアとトレーニングを受けた介護士の配置は、4つのコスト削減戦略の中で最も優れていると考えられたが、それは最も多くの肺炎を回避でき、比較的高いコスト削減を達成できたからである。

これらの結果は、オーストラリアの住居型老人介護施設で新しい口腔ケアプログラムを実施するための有力な基準となる可能性があります。

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